◆事業者名「出光昭和シェル」

　出光興産の月岡隆会長、昭和シェル石油の亀岡剛社長執行役員ＣＥＯは10日、都内で会見し、２０１９年４月１日に経営統合することで合意したと発表した。２０１６年６月の出光株主総会で、大株主である創業家が反対を表明し、実現が先送りされてきたが、当初計画から２年を経て〝業界第二極〞が誕生する。


　２０１９年４月１日を効力発生日とし、出光株式を昭シ株主に交付し、出光が昭シ発行済み全株式を取得する株式交換を行う。昭シは非上場の出光子会社となるが「形式上は親子関係だが、実質は新社がもっとも力を発揮できるかたちで統合する」（月岡氏）といい、大株主の賛同を取りつけるうえで出光、昭シの３者が合意できる〝共通解〞を模索した結果という。
　商号は出光興産とする一方、トレードネームとして「出光昭和シェル」を用いる方針。両社は「例えていえば、ＪＲ東日本にあたるものが出光昭和シェルで、東日本旅客鉄道が出光興産と考えていただきたい」と説明した。ＳＳブランドは当面、現状のままで「その後は、社会情勢の変化などを踏まえ、どうすることがお客さまにもっとも良いのかを、特約店、販売店さんや社員と話し合っていく」（亀岡氏）としている。
　統合前進は、出光大株主の日章興産（保有比率13・04％）および出光正和氏（１・16％）と、出光との経営統合に関する合意書締結で、このなかには臨時株主総会での賛成の議決権行使条件として▽新社の取締役候補者のうち２人を大株主が推薦（これにより取締役候補は出光５人、昭シ３人になる）▽統合新社の中期経営計画（２０１９〜２０２１年度）における最終利益目標の提示（両社の協議で計画最終年度の最終利益目標５０００億円以上に設定）▽同期間の利益の50％以上の株主還元▽臨時株主総会までに、出光による１２００万株の自己株式取得－が盛り込まれており、経営統合はこれらを満たすかたちで進める。
　ほかに新社では、独立社外取締役を４人以上起用し、共通部門の部室長などは両社同数とする。
　今後は10月に株式交換契約を締結し、株式交換比率などに合意。12月に両社の臨時株主総会を開いて、株主に経営統合の賛意を問う。予定通りなら２０１９年４月１日に経営統合がスタートを切る。