低燃費化、コネクテッドなど、さまざまな技術を盛り込んだ新型車が登場するなかで、自動車整備に求められる知識や技術は年々複雑化・多様化している。とりわけＳＳには、あらゆるメーカーや年式のクルマが訪れ、対応しなければならないクルマの幅広さは、カーディーラーの比ではない。　出光興産の子会社、アポロリテイリングは、こうしたＳＳ現場の実情を受けて、収益向上と事故防止に役立つ、自動車整備の情報ポータルサイト「Ｃａｒ－Ｃａｒｅ－Ｐｒｏ．ｎｅｔ（カーケアプロネット）」を開発し、１月から運用を開始した。
　従来、提供していた「ＡＥＭＭ（アポロエコカーメンテナンスマニュアル」から、２・５倍に情報量を増やして機能を拡充。パソコン上から車名と年式を打ち込むだけで、国産５００車種・７００モデルの技術情報を引き出せる。エンジンオイル、ミッションオイル、バッテリー、エアコンフィルターの適合商品、交換作業手順（写真・イラスト付き）、スキャンツールの要・不要、交換時期を知らせる機能のリセット方法などを掲載している。
　タブレットやスマートフォンに対応しているのも、ＳＳ現場の使い勝手に即した特徴だ。作業時に不安を覚えたスタッフが用いて、ミスを減らす効果に加え、接客時に活用してユーザーの納得感・満足感のもとで、受注につなげる効果も期待できる。
　自動車技術の進化に対応し、掲載情報は定期的にアップデートする。新車の情報も、発売６カ月以内に掲載していく。一般に、ＳＳでカーケア販売の対象になりやすいのは、新車時のメンテナンスパックが外れた後とされるが、個人向けカーリース「出光オートフラット」導入店では、新車のカーケアも重要業務で、早期の情報掲載によりＳＳをサポートする。
　出光は「ジョブネット」「ピットインプラス」「ドライブコンサルタント」など、ウェブを活用したＳＳサポート施策を次々に打ち出しており、今回の「カーケアプロ」もその一環。開発に携わったアポロリテイリングの斉藤博人氏は「ディーラー以上にさまざまなメーカーのクルマが来店するＳＳにこそ、技術情報は不可欠。整備技術は年々複雑化し難しくなっているが、ＳＳ現場では人手不足が深刻で技術伝承もままならない。ここを補完するのは元売の役割」と、開発に至った経緯を説明する。
　接客の全体の流れのなかで同サイトを活用し、オイルやミッションオイルの販売などにつなげる研修会も実施していく方針。